能代市風の松原植物調査


ツルシキミ(蔓樒) (ミカン科)常緑低木。雌雄異株。

山地の上部の林内に生える。
幹の基部が地上を這うのが特徴(葉や花、果実などはミヤマシキミとほとんど同じ)。
高さ1〜1.5mになる。樹皮は灰色。若い枝は緑色。

葉は互生。葉身は長さ6〜13cm、幅1.5〜5cmの倒卵状長楕円。
先は鈍く、基部はくさび形。ふちは全縁。革質で表面は光沢があり、裏面には透明な油点がある。
葉柄はすこし赤紫色を帯びる。

枝先に円錐花序だし、香りのある白い花を多数つける。
花は直径約1cm。花弁は4個。長さ4〜5mmの長楕円形。
雄花の雄しべは4個で直立する。
雌花には退化した雄しべがあり、子房は球形、柱頭は平たく、浅く4〜5裂する。
萼は浅く4裂する。萼や花柄、花序の軸などは赤紫色。

果実は核果。直径5〜8mmのほぼ球形、12〜2月に赤く熟す。核は長さ6〜8mmのほぼ広卵形で、先はとがる。

花期4〜5月。北海道〜本州(東北地方、中部地方以西の日本海側)、四国、九州。



01.08年11月22日 ツルシキミ 松林の中に点在して生育。矢印は幹が地を這っている。丈70cm。




02.09年12月03日 ツルシキミ 樹皮は灰褐色で、いぼ状の皮目がある。




03.葉は枝先に集まってつく。




04.09年12月03日 ツルシキミ 倒卵状長楕円形で革質で表面には光沢があり、裏面には油点がある。




05.09年12月03日 ツルシキミ 表面毛無。縁は全縁。突起物は葉裏からの油点の押し上げによるもの。




06.09年12月03日 ツルシキミ 葉先は多少丸みを帯び、小さく割れる。




07.09年12月03日 ツルシキミ 基部楔形。葉柄短く無毛。




08.09年12月03日 ツルシキミ 葉の裏側の油点。幼虫の卵が生み付けられている。




09.08年11月22日 ツルシキミ 雌雄別株。蕾は赤みを帯びている。




10.09年04月28日 ツルシキミ 雄花。枝先に円錐花序をつける。




11.13年05月11日 ツルシキミ 写真上、雄花。花弁と雄しべは4個。雌しべが退化している。写真下、花弁の表裏。白色で長楕円形、長さ5mm程。無毛。矢印は退化した雌しべ。




12.13年05月11日 ツルシキミ 退化した雌しべを半分に切断した断面。雄しべ長さ5mmで花糸白色で無毛。葯橙色。




13.13年05月14日 ツルシキミ 雌しべ。花弁4個で花の径は13mm。




14.13年05月14日 ツルシキミ 雌しべ。花弁を取り除いた。A=子房。B=花柱白色無毛。C=柱頭は2裂しているように見える。D=雄しべは退化している。




15.13年05月14日 ツルシキミ 雌しべ。子房を縦に切断した断面。




16.13年05月14日 ツルシキミ 雌しべ。退化した雄しべは長さ2.5mm程で葯も小さい。




17.13年05月14日 ツルシキミ これは雌花の萼片ですが、雌雄花も同じ4個。




18.09年12月03日 ツルシキミ 果実が熟している。果実は径8mm。表面がブツブツしている。




19.09年12月03日 ツルシキミ 果実を縦に切断。白い種子が入っている。種子は長さ6〜8mmのほぼ広卵形で、先はとがる。




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