能代市風の松原植物調査



オクノカンスゲ(寒菅) (カヤツリグサ科)多年草・常緑生。


山間部では身近に生育する大型のスゲの代表的なもの。株は大きくなり高さ30cm以上にもなる。

葉の根元は黒紫色になる。根元から匍匐茎を出す。葉の幅は4〜7mmで、断面はゆるやかなV字型あるいは凹型であって、三脈が認められない点と硬くて光沢がある点で、ミヤマカンスゲやオクノカンスゲとは区別できる。
多数の根出葉をそれぞれやや斜め上に伸ばす。葉の縁はざらつく。

花穂は1つの株から多数が出る。
穂は葉より高くは伸びず、葉の間から姿を見せる。
頂小穂は雄性で、濃褐色で細長い紡錘形の雄小穂がつく。時に雄小穂の色が薄いものがある。

それより下の花茎からは数個の雌小穂が出る。
側小穂は雌性で長さ1-3cm。雌鱗片の上半分は濃い褐色。
雌小穂は細長い棒状で、下の方のものにははっきりした柄があり、いずれも上を向いてやや立つ。
雌小穂の基部には苞があるが、鞘の先の葉状部は針状になっている。
雌小穂は、鱗片、果胞共に淡い色なので、黄色っぽく、あるいは白っぽく見える。

果胞はとがった嘴があって、そりかえる。穂全体としては、嘴が外に向いてとがるので、刺々した感じになる。

花期は4〜5月。本州の中部太平洋側から中国地方、四国、九州。



01.10年04月27日 オクノカンスゲ 1ヶ所に固まって生育しています。




02.10年04月27日 オクノカンスゲ このようにこんもりとした株状になっています。花が開いてきました。




03.10年04月27日 オクノカンスゲ 採取した生育姿。




04.10年05月04日 カンスゲ 根はとにかく強い根張りがある。根元から匍匐根茎を出す。




05.10年04月27日 オクノカンスゲ 1本の茎葉ですが真っ直ぐに立ちます。一番上に雄しべが着き、その下の枝分かれしたところに雌しべがつき、葉がつきます。




06.12年04月30日 オクノカンスゲ 葉の形。




07.10年04月11日 オクノカンスゲ 写真上は、葉の表側無毛。下写真は、葉の裏側で、中心部が凹む。葉の裏側無毛。並行脈が走っている。写真中央は葉の断面、断面はVの字形。




08.12年04月30日 オクノカンスゲ 上が雄花。下が雌花。




09.10.10年04月27日 オクノカンスゲ 葉舌、葉耳、葉鞘は無毛。




10.10年04月27日 オクノカンスゲ 雄花葯が開出している。




11.12年04月30日 オクノカンスゲ 左側写真は雄花全体。写真右側は雄花を縦に切断したもの。




12.12年04月30日 オクノカンスゲ 雄花を横に切断したものです。白い花糸が葯とつながっている。




13.12年04月30日 オクノカンスゲ 雄花の葯が破れて花粉をまき散らかしています。




14.12年04月30日 オクノカンスゲ 雄しべ葯と白いのが花糸。




15.10年04月27日 オクノカンスゲ 左写真、雌しべが枝分かれしてつく。右側写真は雌花の花穂のアップですが、雌花の白い花柱が見えます。




16.12年04月30日 オクノカンスゲ 雌花序を横に切断したものですが花柱がよく伸びているのがよく分かります。写真右側は、雌しべ白い柱頭が3裂で、毛がある。




17.10年05月11日 オクノカンスゲ 果実。右下写真は1個の果胞。果胞の口部は鋭2歯、鱗片は長く鋭尖頭。




18.14年05月24日 オクノカンスゲ 稔った果胞。




19.14年05月24日 オクノカンスゲ 果胞は4mmの固体。左側鱗片葉。




20.14年05月24日 オクノカンスゲ 種子は1.5mmで円形。



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